ランタンパレードの激情

2004年のレーベル設立以来、相当な数のリリース・タイトルを重ねる曽我部恵一主宰のROSEにあって、ハードコア・パンク・バンド出身という鋭利な出自をメロウなサンプル・トラックに忍ばせて、歌い呟くLANTERN PARADEこと清水民尋。3作目となる本作では、ファンキーDLあたりを想起させるジャジーなサンプル使いの、ヒップホップ寄りなプロダクションに傾倒している。しかし、トラックがラフに組まれているうえに、歌ともラップともつかない呟きは符割りが無視されていたり、トラックに対するキーが微妙にズラされていたりと、その作風にはスムーズに聴き流させないマッドネスな意図が窺える。苛立ちと妄想を抱えながら、アパートの自室で淡々と爆弾を作っているような、荒んだ心象風景が展開される詞世界もその切っ先は鋭利なままで、一度刺さったら簡単には抜けそうもない。

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