幻とのつきあい方

Douban
幻とのつきあい方

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kunstner: 坂本慎太郎
forlag: インディペンデントレーベル
udgivelsesdato: 18. november 2011
genre: 摇滚
stregkode: 4582237822922
albumtype: 专辑
album media: CD

9,0 / 10

51 bedømmelser

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overblik

元ゆらゆら帝国リーダー・坂本慎太郎の、初ソロ作。
初めて通しで聴き終えた際の感想は、随分ゆるくあっさりした感触の作品だということだった。サウンド的には、70年代を思わせ
る生楽器主体ソウル・ファンク風サウンド(勿論それだけには留まらない)で、ゆらゆら帝国解散後音楽を止めても良いと彼自身
思う程に真っ白な状態に戻り、そこからコンガを始め自分のやりたい音に一から向き合った過程が刻まれている。そこにはゆら
ゆら帝国時代のある種サイケデリックな意匠はなりを潜め、ある意味とてもカジュアルで人懐っこい雰囲気が漂う。
しかしながらこの人の場合、音の表層の部分だけを追っても意味がない。その奥を辿ることでさらなる面白さが見えてくる。
不思議なのはさらりと流れる様なある種の淡白さを纏った音楽にも関わらず、耳をすり抜けていかないところ。耳や心の何処か
に引っ掛かりを残し、この感覚はなんだろう?と繰り返し音楽を再生し確かめたくなる。そのうち耳触りの良い音楽が快感に変わ
りいつの間にか嵌りこんでしまった。なんとも掴みどころがない感覚を与える作品だと思う。
所謂「お洒落」な音を出していながら、その上に乗せられる言葉のベクトルは徹底的に自己の内面で生まれる感情の葛藤に向け
られ、「君」との関係も何処か悶々としている。こういった音楽と言葉の捻じ曲がった結びつけ方も相当ユニークだ。
坂本氏が綴る言葉の中には、強引な励ましも、お涙頂戴のドラマがある訳でも、叱咤されるわけでもない、いわば過剰なカタルシ
スが皆無だ。この上なくシュールな映像が目に浮かぶ「ずぼんとぼう」等、歌う必然性さえ疑問に感じさせる言葉たちを敢えて歌
に仕立て耳を惹かせる処は実にこの人らしい。作風を反映したかのように彼の歌も常に一定のテンションを保ち、飄々とした風情
。それだけに聴き手がどんな心理状態におかれた時でもそばに置いて妨げにならない、しかし単なるBGMにならない希少な音楽
となっている。こういう作品を創れるというのは実はさり気なく凄いことではないだろうか。
雑誌のインタビューで彼は、震災を通し音楽に社会的メッセージを含ませるミュージシャン達の姿勢を認めながらも、自分は敢え
て「意味の無いもの」に囲まれることの幸せを感じたいと語る。本作からは、余計なものも含め自分の哲学に日々淡々と向き合う
ことへの幸福感が感じられる。そしてその感覚は生きる上で案外欠かせないものなのかも、本作を聴くとそんなことを想うのだ。

tracks

1. 幽霊の気分で(Album Version)
2. 君はそう決めた
3. 思い出が消えてゆく
4. 仮面をはずさないで
5. ずぼんとぼう
6. かすかな希望
7. 傷とともに踊る
8. 何かが違う(Album Version)
9. 幻とのつきあい方
10. 小さいけど一人前

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