勝訴ストリップ (胜诉的新宿舞娘)
Douban
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前作にも増して、強烈な「言葉」の数々が聴く者を突き刺す2nd。誰かを愛したい、そしてできれば、その人から愛されたい。すべての現代人が渇望しているコミュニケーションへの欲求を高い純度で音像化した今作は、激しく、ヒリヒリとした痛みに満ちている。暗く、冷たい心象風景をポップ・ミュージックへと昇華、ダブルミリオンを記録した傑作。(森 朋之)
内容(「CDジャーナル」データベースより)
あの傑作デビュー・アルバムをも凌ぐ圧倒的世界が確立された大傑作2nd。ジャズもパンクもグランジも歌謡曲も全部我流に再構築して聴かせるサウンドには,唯一無二の迫力と切実さとが充満した未曾有の大傑作。先行シングル曲「罪と罰」も長尺版にて収録だ。
内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
前作のMMに続いて今回はSSだ。サービス・ステーションと割り切っていいのかもしれないけれど、ナチス・ドイツに由来するのかもしれない。曲の中にドイツ車も出てくるし。それか、もしかしたらナチス・ドイツに由来したパンク・バンドに由来するのかな。タイトルよりもイニシャルのほうが気になる。MからSになったというのはやはりマゾヒスト林檎にはサディスト入っててそれもありってことかもしれない。ところでぼくのこのレビューはフィオナ・アップル以来だけど、編集部はいちおう語呂合わせ狙っているのかなあ。この次がリンゴ・スターかシーナ・イーストンだったら許してあげるけど。シーナ&ロケッツじゃあいかにもねえ。「弁解ドビュッシー」の中の“どうせあたしの人生 語呂合わせなんだもん”という一節は、彼女にしてはやけにうるわしい開き直りだ。こういうことを言ってみせたりするから“おれの人生だって、おやじギャグさ”みたいに同調するギャグおやじがパクっとやられちゃうんだろうなあ、と他人事のように論評しておくことにする。それにしても彼女の言葉の仕掛けはものすごくマニエリスティックで、マザーグースばり、いやそこまで高尚でなくてもジェイムズ・ジョイスばりとぐらい言ってしまってもいいだろう。和風にみれば連歌だな。この究極の13曲の一人連歌は“椎名連歌”と、べつに重役級のおやじギャグとばすわけじゃないが、とりあえず命名しておこう。彼女が好きなピーター・グリーナウェイばりのシンメトリーへの偏執、数に対する偏執は、鋳型嗜好、ギブス・マニア、コルセット主義の椎名マゾヒスト連歌をますます金縛りの極致へと追い込んでいく。そうした語呂合わせの容器が固まっていけばいくほど、辻褄合わせの社会との断絶がはっきりとみえてくる快感。開き直り方を学ぶなんてたいそうなもんでもないが、「人生は辻褄合わせなんかじゃない」と思わせてくれるだけで椎名林檎の歌は人をしたたかにさせる。 (野中映) --- 2000年04月号
tracks
1. 虚言症
2. 浴室
3. 弁解ドビュッシー
4. ギブス
5. 闇に降る雨
6. アイデンティティ
7. 罪と罰
8. ストイシズム
9. 月に負け犬
10. サカナ
11. 病床パブリック
12. 本能
13. 依存症