江戸時代とはなにか
Douban
日本史上の近世と近代
尾藤正英
Sinossi
江戸時代はなぜ270年もの間,平和を保ったのだろう.また,明治維新が大きな混乱なく推移したのはなぜだったのか.徳川政権の成立とその元での「役」負担の意識は,天皇・将軍・武士・民衆の関係を大きく変えたが,明治以降に続く「近代」の土壌を,法や宗教などの側面から明らかにし,新たな江戸時代像を提示する.(解説=ケイト・W.ナカイ)
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本書には序説も含め10本の論文が収録されている.そのいずれもの冒頭に,「通説」ないしはこれまでの方法論と対比した形で著者の問題意識が示され,続いて具体的な事例から鮮やかに江戸時代の特徴を浮かび上がらせるものとなっている.問題意識とは例えば次のようなもの――
・「一揆」の時代,「下剋上」の時代とも呼ばれる中世後期の社会構造の何が変わり,その後の安定が導かれたのか.
・徳川家康はいったいどんな国家観をもっていたのか.
・江戸幕府はどうして天皇の君主としての地位を廃止するような行動に出なかったのだろうか.
・日本史上において武士が果たしてきた役割とは何だったのか.
・明治維新によって開始された日本の近代化もしくは西洋化を可能にした諸条件は,それに先行する時代の中で,どのように形成されたのか.等々….
いずれも江戸時代を大局的に捉える問いが投げかけてあり,読み終えたときには,これまでの時代像が改まること間違いなし.そう,サブタイトルにもあるとおり,江戸時代に対しよく用いられる「近世」の語は,=modern ageであり,具体的に検討すればするほど,「近代」と一続きに呼んでよいものなのだ.そのキーワードは「役(やく)」と「家」.詳しくは本書を.
本書は1992年12月,小社より刊行されたものである.
岩波現代文庫 学術158