加奈妹妹

主人公、藤堂隆道には二つ年の離れた妹、加奈がいた。隆道はまだ幼いころは、病弱な加奈にかかりきりになりやすいことから加奈が「自分から両親を取り上げる」存在として疎ましくさえ思っていたが、ある日を境に加奈が「壊れ物のように儚く弱い」存在であることを知り「兄である自分が守らなければ……」と、以後、その両親にさえ過保護と思われるくらいに、加奈を大切にするようになった。

　しかし運命は残酷なもの。加奈は単なる病弱ではなく、腎臓をはじめとした多臓器に不全を抱えた重病人だった。そして医者は治癒する見込みどころか、やっと高校生にまで成長できた加奈に、余命半年と残酷なまでの宣告をするのだった。

　抗えぬ運命に対し、わずかな希望を抱きつつも、残された時間をかけがえのないものにしようと加奈をいたわり続ける隆道と、そんな兄を慕い心の支えとする加奈。そこにはすでに兄妹のそれを越えた愛情が芽生えつつあった。互いに心を通わせ、互いに支えあって日々を生きて行く二人。
　……だが、二人に残された時間はあまりにも短かった。

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